1. なぜ自分で調べる必要があるのか
引っ越し先や購入候補の物件の近くに暴力団事務所があるかどうかは、不動産会社が必ず教えてくれるとは限りません。
その理由は3つあります。
- ●法律上の明確な告知義務がない:事故物件(人の死)には国土交通省のガイドラインがありますが、暴力団事務所にはそれに相当する明確な基準がありません
- ●不動産会社が把握していない:暴力団事務所の場所は公安委員会が指定暴力団のみ公表しており、準暴力団や非公開の事務所まで把握している不動産会社は多くありません
- ●告知すると契約が流れるリスク:不動産会社にとって、暴力団事務所の存在を伝えることは成約率の低下につながるため、積極的な告知をためらう場合があります
だからこそ、自分で事前に調べることが最も確実な対策です。以下の5つの方法を組み合わせることで、ほぼ確実に周辺の暴力団事務所の有無を確認できます。
2. 方法1:暴力団事務所データベースで検索する
最も手軽な方法は、暴力団事務所の所在地をまとめたデータベースを利用することです。
JikoDBでの確認方法
- 1暴力団事務所データベースにアクセス
- 2都道府県を選択して、該当エリアの暴力団事務所一覧を確認
- 3各事務所の詳細ページで住所・組織名・地図上の位置を確認
- 4検討中の物件から暴力団事務所までの距離を確認
JikoDBのデータについて
JikoDBに掲載されている暴力団事務所データは、都道府県公安委員会の公表情報やYAKUZA WIKIの情報に基づいています。全国約320件の暴力団事務所の情報を掲載していますが、非公開の事務所や準暴力団の拠点は含まれていない場合があります。
3. 方法2:都道府県公安委員会の公表情報を確認する
暴力団対策法に基づき、都道府県公安委員会は指定暴力団の代表者名と主たる事務所の所在地を公表しています。これが最も公的で信頼性の高い情報源です。
確認できる情報
- ✓指定暴力団の名称
- ✓代表者の氏名
- ✓主たる事務所の所在地
- ✓指定の年月日
確認方法
- ●警察庁のウェブサイト:指定暴力団の一覧が公表されています。各団体の主たる事務所の所在地を確認できます
- ●各都道府県警察のウェブサイト:管轄内の暴力団に関する情報を公表している場合があります
- ●国家公安委員会の官報告示:指定暴力団の指定・取消しは官報で告示されます
注意点
公安委員会の公表情報は「主たる事務所」(本部)のみです。二次団体・三次団体の事務所や、非公開の関連施設は含まれていません。そのため、公表情報だけでは不十分な場合があります。
4. 方法3:暴追センターに電話で相談する
暴力追放運動推進センター(暴追センター)は、暴力団対策法第32条の2に基づき各都道府県に設置されている公的な相談窓口です。暴力団に関する相談を無料で受け付けています。
相談の流れ
- 1
電話をかける
引っ越し先の都道府県の暴追センターに電話します。「引っ越し予定の住所の近くに暴力団事務所があるか確認したい」と伝えてください。
- 2
住所を伝える
確認したい物件の住所を伝えます。暴追センターは暴力団事務所の情報を保有しているため、周辺に暴力団事務所があるかどうかの情報を提供してもらえる場合があります。
- 3
回答を受ける
情報提供が可能な範囲で回答を受けます。具体的な組織名や住所まで教えてもらえるかは、センターや状況によって異なります。
主要な暴追センターの連絡先
| 地域 | 名称 | 電話番号 |
|---|---|---|
| 東京都 | 公益財団法人 暴力団追放運動推進都民センター | 03-3291-8930 |
| 大阪府 | 公益財団法人 大阪府暴力追放推進センター | 06-6946-8930 |
| 愛知県 | 公益財団法人 愛知県暴力追放運動推進センター | 052-883-3110 |
| 福岡県 | 公益財団法人 福岡県暴力追放運動推進センター | 092-651-8938 |
| 神奈川県 | 公益財団法人 神奈川県暴力追放推進センター | 045-211-8930 |
| 兵庫県 | 公益財団法人 兵庫県暴力団追放センター | 078-351-8930 |
※ 上記以外の都道府県の暴追センターは、「(都道府県名)暴追センター」で検索してください。
5. 方法4:不動産会社に直接質問する
不動産会社に直接質問するのは、最もシンプルな方法です。ただし、効果的に情報を引き出すためにはコツがあります。
効果的な質問の仕方
良い質問例
- 「この物件の周辺に暴力団事務所はありますか?」 → 直接的で明確。不動産会社は知っている情報を告知する必要がある
- 「この地域の治安に関して、何か知っておくべきことはありますか?」 → 暴力団以外のリスクも含めて情報を引き出せる
- 「周辺に嫌悪施設と呼ばれるものはありますか?」 → 不動産の専門用語を使うことで、プロとしての回答を促す
避けるべき質問例
- 「この辺って安全ですよね?」 → 漠然としていて「はい」で終わる質問。具体的な情報が得られない
- 「問題のある場所は近くにないですか?」 → 何を問題とするか定義が曖昧で、回答を避けやすい
質問するタイミング
- ●内見時:現地で周辺環境を見ながら質問するのが最も自然
- ●重要事項説明の前:契約前の段階で確認しておくことが重要
- ●メールや書面で:口頭だけでなく書面で回答をもらっておくと、後で問題になった場合に証拠になる
重要なポイント
不動産会社が「知らない」と回答した場合、それが本当に知らないのか、告知を避けているのかの判断は難しいです。不動産会社の回答だけに頼らず、他の方法と組み合わせて確認することが重要です。
6. 方法5:現地を自分の目で確認する
物件の周辺を実際に歩いて確認する方法です。暴力団事務所にはいくつかの外見的な特徴があり、知っていれば見分けられる場合があります。
暴力団事務所の外見的特徴
- ●代紋(組の紋章)の掲示:建物の入口や門に、菱形やその他の紋章が掲示されている
- ●組名・団体名の表札:玄関や門柱に組織名が記載された表札がある
- ●多数の防犯カメラ:一般住宅としては不自然に多い数の防犯カメラが設置されている
- ●黒塗りの高級車:建物の前や駐車場に、黒塗りの高級車(ベンツ、レクサス等)が複数台駐車している
- ●高い塀・鉄柵:一般的な住宅地にそぐわない高い塀や頑丈な鉄柵で囲まれている
- ●窓の遮光処理:すべての窓にブラインドや遮光カーテンが引かれ、内部が見えないようにしている
注意
近年は外見では判別しにくい一般的なマンションの一室を事務所として使用するケースも増えています。外見だけで判断せず、他の確認方法と必ず併用してください。また、暴力団事務所と疑われる建物に近づいたり、写真を撮ったりすることは避けてください。
確認するタイミング
現地確認は時間帯を変えて複数回行うのが効果的です。
- ●平日の昼間:人の出入りや駐車車両の状況を確認
- ●夜間:深夜の車両の出入りや騒音の状況を確認
- ●週末:普段とは異なる利用状況を確認
7. 5つの方法の比較表
それぞれの方法にメリット・デメリットがあります。可能であれば複数の方法を組み合わせて確認することをおすすめします。
| 方法 | 手軽さ | 信頼性 | カバー範囲 | 費用 |
|---|---|---|---|---|
| データベース検索 | ★★★★★ | ★★★★☆ | 指定暴力団中心 | 無料 |
| 公安委員会情報 | ★★★☆☆ | ★★★★★ | 主たる事務所のみ | 無料 |
| 暴追センター | ★★★★☆ | ★★★★★ | 広範囲 | 無料 |
| 不動産会社 | ★★★★★ | ★★★☆☆ | 把握範囲による | 無料 |
| 現地確認 | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | 徒歩圏内 | 交通費のみ |
おすすめの組み合わせ
まずデータベース検索で広く確認し、気になる点があれば暴追センターで確認。内見時に不動産会社への質問と現地確認を同時に行う。この3ステップでほぼ確実にカバーできます。
8. 暴力団事務所が見つかった場合の判断基準
調べた結果、検討中の物件の近くに暴力団事務所があることが分かった場合、どう判断すればよいでしょうか。
避けた方がよいケース
- ● 物件から200m以内に事務所がある
- ● 通勤・通学路に事務所がある
- ● 大規模な組織(指定暴力団の本部等)の事務所である
- ● 小さな子どもがいるご家庭
- ● 不動産を資産として長期保有する予定
慎重に検討すべきケース
- ● 物件から200〜500mの距離にある
- ● 小規模な二次団体・三次団体の事務所である
- ● 賃貸物件で短期間の居住を予定している
影響が小さいケース
- ● 物件から500m以上離れている
- ● 事務所と物件の間に大きな道路や施設がある
- ● 暴力団排除活動により撤去の見込みがある
最終的な判断は個人の価値観や生活状況によって異なります。不安な場合は、無理にその物件を選ぶ必要はありません。暴力団事務所の近くに住むことの具体的な影響については、暴力団事務所の近くに住むとどうなる?で詳しく解説しています。
関連ページ
※ 本記事の情報は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の不動産取引に関するアドバイスではありません。暴追センターの電話番号は変更される場合があります。最新の情報は各センターの公式サイトでご確認ください。